Q.O.L. COFFEE ~コーヒーで繋がる世界~ written by ひらじゅん

「全部、意味があるんです」。
オーナーの嶋さんが、何度もつぶやく。
特に哲学的な話をしていたわけではない。
その時の話題は、「店の内装」。
カウンター席の上には小ぶりのライトが四つ下がっているのだが、傘の色がそれぞれ異なり、何と光の色まで違う。
「傘の内側に色が塗ってあるだけなんですけどね」と嶋さん。
さりげないが、何とも心地よいアクセントになっている。
天井に配された木の枝など、全ての内装を自分で考えているという。

カウンター数席と、四人掛けのテーブルが一つだけ置かれた一階。
全てオーダーメイドという棚や壁面には、豆は勿論、ハンドミルやケトルといった嶋さん厳選什器のほか、珈琲関連の雑誌 などが並べられ、床には豆の麻袋などが一見無造作に置かれている。
そして何といってもひときわ存在感を放つ自慢の焙煎機。
「一階は珈琲のカルチャーを感じてもらう空間」なのだそうだ。

そしてちょっとワクワクする雰囲気の階段を上って二階へ。
踊り場で折り返すと、目の前に広がるのは光あふれる白亜の空間。
「二階はくつろぎの空間」と嶋さんが語るとおり、グリーンが効果的に配され、ギリシャか、はたまた南米の避暑地のような(行ったことはないですが)空気に包まれている。

お洒落でスタイリッシュ。どこからどう見ても“カフェ”と呼びたくなるが、嶋さんは「うちは根っこは喫茶店です」ときっぱり。
「昔は“歌声喫茶”とか“名曲喫茶”とかあって、今でも“jazz喫茶”ってありますよね。喫茶店って、そういう“色”があって、色んな人が集って何かが生まれる、文化の発信地だと思うんです」。
「うちは、珈琲豆の専門店だけど、そういう“集いの場”“発信の場”でもありたい。だから、喫茶店です」。
若手アーティストの作品を展示したり、ライブを開催したり、さらには演劇の会場になることもあるという。

さて、Q.O.L.の珈琲は全て“スペシャルティコーヒー”の豆を自家焙煎している。
「根っこは喫茶店だけど、ロースターカフェって呼んでもらいたいな」と嶋さん。
「自分の焙煎したコーヒーの香りが、お客様の家の中に漂ってるって、すごく素敵ですよね」。
「スペシャルティコーヒーをもっと知ってもらいたいし、若い人たちに興味を持ってほしい。」という。
こだわりぬいた内装や、Uber Eatsをいち早く取り入れるといった姿勢は「若者たちに響きやすいように」との想いも込められている。

ホットコーヒーはガラスのポットに入って、特注の陶器のカップとコーヒー豆の説明カード共に出される。
カップは“ちょっと大きめのぐい吞み”といった大きさで、ポットから三~四杯注ぐことができる。
「普通のカップで出して、説明カードも無いと、ただのコーヒーと一緒になってしまうのがもったいないです。
Q.O.L.のコーヒーは温度によって味が変わるので、温かい状態から冷めていく状態までの味の変化を楽しんでほしいんです。そして、お好みで2杯目3杯目はミルクを入れたり、砂糖を入れたりと、いくつもの味が楽しめる。」
「ちょっと面倒だけど、そのひと手間を楽しんでほしいんです。何か、「たまにはストレートで飲んでみようか」とか、気づきがあったりしたら面白いかなって。」

そして「元料理人」である嶋さん。当然、フードも逸品ぞろいだ。
どれもおススメだが、一番人気は「他とは一味違う」“出汁巻きサンド”だとか。
ほかにも「名古屋の大事な文化だから」と提供しているモーニングのトーストでは、絶品の“厳選ピーナッツバター”を選ぶことができる。
「コーヒーがあって、美味しいものがあったら、元気になりますよね」。

子供のころ連れて行ってもらった喫茶店は、日常とは少し違った“別世界”。
ドキドキするような空間に、いい香りがして、ここでしか食べられない美味しいものがあって、色んな人がいて…
あの楽しさ、心に残る豊かな時間を、ここQ.O.L.で過ごしてほしい。
嶋さんの想いは、この地域を訪れる人や働く人、そしてそこで暮らす人々の毎日に、今日も彩りを添えている。

一覧へ戻る

取材店舗名称 Q.O.L. COFFEE(キュー・オー・エル コーヒー)
住所 愛知県名古屋市中区丸の内3丁目5番−1号 マジマビル
電話番号 052-746-9134
営業時間 【月〜金】7:30〜19:00
【土〜日】9:00〜18:00
定休日 日曜営業/不定休
ホームページ facebook
Instagram